SantoStory 三都幻妖夜話
女性向。同性愛、性描写、残酷描写など、18歳以下の方の閲覧に不適切な内容を含みます。
この物語はフィクションです。実在の人物・団体、企業などと一切関係ありません。
この作品はいただきものです。はちみつさん作です。チャットでお話したときの作者のアホみたいなネタを小説にしてくださいました。すごいな、アキちゃんと亨は、誰が書いてもアホみたいなんだっ(笑) 作者がいつも思う「お前ら書いてて情けない……」みたいなキモチを共感していただけたみたいで。それが一番嬉しいです!(どんなんや) 関西弁にも挑戦してくださってて、すごいです。特に問題ありません。明日から普通にオーサカ住めます! 書いてくださって、ありがとうございました!!

書の蔵「バージンごっこ」

「なぁ、アキちゃん」口付けを求めて擦り寄ってきた亨はがぶりと俺に食らいつき、散々に口内を蹂躙した、 熱い舌が言葉を紡がずその先の行為を強請ってくるのにくらくらきながらまぁええかなんて思って 強請られるまま亨とソファに傾れ込んだ。
アキちゃん、て亨が嬉しいけど恥ずかしい!みたいもじもじ笑った、 亨の目は期待に潤んで零れそうやったから零したらもったいない、舐めとこか、 て眦を吸ったらくすぐったかったんか肩すくめてけたけた笑った。露になった肌が朱に染まるのは気味がええね。
やめてぇなって甘えた非難を口ずさんで身をよじる亨の顔はしめしめという顔やった、俺にはそう見えた、 悪戯に成功したみたいなやらしさ匂う、そんな笑いや、なんや嫌な予感するわ。運転手さん、今日の行き先どこですか・・・。
「アキちゃん、あんな、俺はじめてやねん。やさしくしてな?」
亨が困ったみたいな形だけの笑みを浮かべてありえへん告白をした、怯んだアキちゃん思わずノーリアクションでした、 だってありえへん、ありえへんもん、よおそんな事言えたなぁお前は、ほんま頭イタイヤツやで亨。
「俺の言うこと信じられへんのアキちゃん?そんな顔してんで」
そらします、なんて遊び?て聞くのもアホらしいわ、無視しとこか、無視したらあかん?
あかんか、無視したら亨の気の済むまでオアズケやん、それでもどうせ痺れ切らすんは亨の方やから放っておいてもええか 思うけど今日はあかんわ、アキちゃんちょっと一人で抜いとき言われたらしんどいです、俺そんなん出来ません。
溜め息つきたい、ついたら怒るかな亨、でもつくわゴメンな亨、アキちゃんお前のその困った頭についていかれへんねん。
なんとなしに切なくなるわ。
「なんで溜め息やの!?ひどい!アキちゃん、鬼や」
溜め息ついた俺に亨はえらい傷ついたわて哀しい顔して苦悶した。
「お前がアホなこと言うからやろ」
しおしおしてる亨はいつもと違うみたいに見えて、可哀想可愛い気がした、 抱き寄せて撫でると亨は俺が頭を撫でるのを拒むみたいにいやいやと首を振って喚いた。
「アホなことなんかいっこも言うてへん!」
いいや、言うてるよ、今まさに言うてます、なんとなく気付いてきてるけど今日はそういう趣向ですか ・・・しょうもない、ほんまにお前はどうしてこういう遊びを思いつくんやろ、 俺はお前のその遊び心が理解できない。普通じゃあかんの?不思議でならない、 マンネリ?アキちゃん最近マンネリしてましたか?だからこんなことになってんの? それやったらショックやなぁ・・・すでに痛む頭が更に痛む気がする、深く考えんとこ、 深く考えたらあかんねんこういうことは、抵抗するだけ無駄やってこれまでのめくるめく経験で学んだはずやろ俺!
・・・それでも一応聞いとこか、確認は大事やもんな。

「ほんまに俺が初めてなんか?」
なんやろこれ、口に出して自分の耳で聞くと尚更アホらしい台詞やな。萎えそうや。
亨は答えず俺の目を熱心に見つめてそおっと両の頬に両手を添えた、 それからやっぱりじぃっと一途に俺を見上げた、必要なんかなこの間、何がしたいんやろ? こういう風に黙ってじっくり見詰め合うとか普段せえへんから居心地悪くてむずむずする、 なんか言え亨、俺の動悸がおかしい、なんやどぎまぎしてきたで!
見下ろす亨の目は俺を映して切なげやった、恍惚とあやしい色がそこに潜んで俺が落ちてくんのを待ってるようや、 そこに蛇の舌が誘い動くのが見えるんは俺の妄想か? 薄く開いた唇に形のいい白い歯が覗くのを見つめながら俺は息も絶え絶え、 もう耐えられんようなって亨とまっすぐ絡み合ってた視線を横にそらしたら、 蛇の手が首に絡まった、冷たい気がする、でも熱い気もする、どうなってんのや? テンパった俺を置き去りに亨はぎゅうっと絡め取った俺の首に縋った、それから、頼りない声で耳元に囁いた。お願い、と。
「信じて、アキちゃん」
頭の芯に何か落ちてきた、痛いもんが、めっちゃ痛いもんが俺を殴ったよ!なんやこれ、 どうしたんや亨、・・・ほんまは変なもん食べたんと違うか?まさか妙なもんに憑かれたんとちゃうやろな!? て俺はドン引きする筈やった、筈やったのに、なんや亨があわれに思えてしまって、 そんな気持ちむんむんさせて亨を抱いた、抱きすくめた亨がアキちゃん信じて、て言うたびなんかが頭をがんがん叩いた。痛い。
黙ったまんまの俺に亨は何も言うてこんのが驚きや、見たら、亨は俯いてた、 俯いた亨の白い頬が淡く紅潮していて綺麗やった、綺麗やなぁって惚けて、 頬を撫でたら耐えるみたいに唇噛んで、ますます俯いた、傷ついてるんかもしれん、 かわいそうに、壊れもん注意の札でもはっとこか、て妙な思い付きを名案に思うて、 俺は亨の遊びにまんまと乗りあげたことに気が付いた。しまった、乗ってもうてる、アホな俺!
自分で自分に呆れてます、でも嬉しい。亨の初い台詞に痺れてる、めちゃめちゃウレシイ俺がいる、 感動してるんか俺、きもいな!ええか、きもくても、お前はそれがええて言うてくれるんやろうから。
あかん、頬緩んでないか俺、大丈夫か、そんな顔亨に見せたらなんか終わる気がする、 しまっていこう!!なんやそれ、俺これから一試合するん?いや、するんやけども・・・。


「俺のはじめてをアキちゃんにあげれて、うれしい」
胸に縋って初い台詞を口にしたら、アキちゃんは難しい顔して怖いんか?て聞いた、 可哀相なもん見る目でもなく呆れる目でもなく、もじもじした俺見て眉間にしわ寄せてなんか我慢してるみたいやった。
アホやでアキちゃん、モロばれや。
ちょっと乗ってみたくなってるんやろ?我慢せんと乗っとき、乗ってきたんならこの亨ちゃんが乗り心地快適の旅にしたるよ!
そう思ったら頬の緩むんがわかったからアキちゃん真似して眉間に力入れて耐えた、 それがアキちゃんには怯えてるみたいに見えたんか、難しい顔したまま俺の額やら頬やらちゅーしてくれた。 そうっと触れて離れていくだけの唇が惜しい、口にもして欲しいわ。
早く、早く、て急かしたいけど我慢した、そういうこと言うとアキちゃん萎えるらしいわ、 繊細やねんアキちゃん、雰囲気が大事なんやて、その気になったら全っ然お構いなしなくせして我侭なツレやろ、辛抱たまらんわ。
けど今日の亨ちゃんは一味違うで、覚悟しとけよアキちゃん!
唇におりてきたアキちゃんの唇にがっついたりせんとお行儀よく待ちわびて、 待ちわびた熱に交りながら、俺はアキちゃんの手を掴んでぎゅっと握り締めた。
いただきます!

めちゃめちゃ気持ちええねんけど気持ちええて言う代わりに痛いて言うてやった、 バージンごっこやからな。なりきらなあかんねんバージンに、せやけど痛いわけないわ、 俺めっちゃ気持ちええて喘ぎまくってたもん、けど気持ちいいとはいわへんで、それは今日のタブーやから、 「痛ないか?亨」てアキちゃんが俺の頬に落ちてく温い汗と熱い涙に擦り寄ってうわ言みたいに何度も聞くから 「痛いわアキちゃん、もっとやさしくしてえ」て泣き縋って訴えた、初いカンジ出せてる? 「こんなんでほんまに気持ちええのアキちゃん」て聞いた声が震えてたで俺、迫真の演技や、 亨ちゃん役者魂全開です、アキちゃん引くかな?ちょい心配、って演技ちゃうねんけどな、 気持ちええのに気持ちええて言われへんのは思ったよりしんどい、せやからいちいち喋くるのんも声震えてまうねん。
けどアキちゃんには効いてるみたい、アキちゃんえらい優しいねん、 大丈夫か亨って心配ですって顔で労わってくれんねん、痛ないようにしてやるからなって 柔らかく俺のこと吸っていいとこ探すみたいに動くねん、このアキちゃんカワイイなぁ、 たまらんわ、やってよかったバージンごっこ・・・、・・・・・・、って焦れるわ!!!堪忍してぇ、 俺のいいとこ知ってるやんアキちゃんどうしちゃったの?優しくしてくれんのうれしいんやけど、 亨ちゃんほんまもんのバージンちゃうから遠慮せんでええねんで?
気持ちよければ結果オーライな亨ちゃんもちょい引いてきましたよ、俺のごっこ遊びに頭痛いわ 亨って呆れて胡乱な顔したアキちゃんどこいったんや、恋しいなってきた。
だってアキちゃん優しすぎんねん、誰ですか?みたいなんやで、いっつもこんくらい優しくしてくれ、 なんやのコレ、そないにバージンごっごええですか?たまらんの? アキちゃんこういう初いのんがえかったんやなぁってがっくりきたわ。
頼むから俺を見てくれ、ごっこあそびバージンバージョンの亨ちゃんじゃなくて、 鬼畜なお前の神さんを見てくれ。惨めでたまらんようなって目え瞑って歯ぁ食いしばったら、 辛いんか、ごめんな、俺はひどいことしてる、てアキちゃんの謝る声が聞こえた。つらい、 アキちゃんが優しいんがつらい、アキちゃんが一生懸命俺にいいようにしてくれるんが切ない、 つくしてくれるんがしんどいわ。アキちゃん、俺は大事なバージンどこに落としてきたかも覚えてないんやで、 なにを大事そうにしてんねん、腹立つわ。
あー、ほんまもんの涙出てきちゃったよ亨ちゃん。
失敗やった、バージンごっこ。


あれからたまーーーーーーーーーーーに、気持ちようて「あかんわ」って訴える俺に 「いたいんか?」てアキちゃんが聞くんやけど、気持ちよすぎてあかんて言うとアキちゃんちょっと残念そうなんですが、 どう思う?したいんかなバージンごっこ、したいんやろな、バージンごっこが、 初い亨ちゃんをご指名ですか・・・でもせえへんよ!あのアキちゃんめっちゃ腹立つからな!バージンごっこはもうお終いや!


唐突に、しよか!て妙な遊び振ってくるんは変わらんけどあれからバージンごっこ一回もしてへん、 なんでやろ?実は気に入ってたりするんやけどな。
亨がしてる最中に痛いなんて言うんが新鮮やっていうのはある、珍しいねん、けどそれだけやないねん。 亨は我侭やけど俺のためやて我慢してくれてることが山ほどあって、顔で笑って心で泣いてんねん、 我慢せんでええ言うても俺のことやから結局無駄やて亨は諦めてんのか悟ってるんか、 アキちゃん俺は我侭してるし言うてるし我慢なんかしてへんで、て笑ってくれる、俺にはそれが痛いねん。
せやからごっこに乗じて亨に泣いてアキちゃんはひどい男や言うて欲しい、 傷ついたて顔で俺を怒って欲しい、責められたいねん、一応言うとくけどマゾやないです、 アキちゃんはヘタレやの、亨ごめんなって、何べんも謝って痛いことしてすまんて、 簡単に言われへんの。せやから亨の鬱積を慰める口実がほしいねん、 だからってしませんかバージンごっこ、とも言われへんねん、 繰り返しになるけどアキちゃんはヘタレやから、・・・何が気に入らんかったのやろ、バージンごっこ。



《終わり》
亨ちゃん……自滅やん? そんなアホさが可愛いみたいな。水地亨の損なキャラがよく出ている。アキちゃんの、お前けっこう変態やないですかみたいなキャラもよく出ている(笑) しかも鈍くてアカン感じがまたアキちゃんて感じ。
「いただきます!」言うてる亨ちゃんが活き活きしていて、「お前、アホやねんな……」って嬉しくなりました。
そんな作者はアホな子萌えです。アホな子ほど可愛いっていうから!


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